いたいけな子供のまなざし

椅子に座らず、そばにしゃがんでいたら、幼児が来て私の椅子を両手でつかんだ。

「えっ、それ私の……」

椅子だよと言おうとしたが、その幼児はいたいけな子供のまなざしを私に向けて来て、それ以上何も言えなかった。

私の椅子は本来の使い方をされ、とけた雪で若干泥に汚れた靴をのせ、幼児は自分の背が届かない窓から外を眺めることができた。

問題解決能力が高い幼児だ。

親は私に何も言わなかったが……