いつもの観察を終え、とっぷり日も暮れ暗くなったフィールドを歩いていた。
外灯のない道も、夜に目が慣れると夜空に照らされてうっすらと独特の景色を映し出す。
人の気配が減るほどに生き物の気配が増すのに誘われて、暗くなったフィールドを歩いてしまう。
歩いていると、後ろから子供たちの嬌声が聞こえてきた。暗くなってからなんて珍しいと思いながら、自転車の集団が抜きやすいように道の端を歩いていく。背後から迫って来る声からすると不慣れな場所を探検しているようだった。
「ゆうれい、ゆうれい」なんて声も聞こえてくる。「面白いなあ」と思いながら黙って歩いていると、その中の小学校低学年と思われる子供が追い抜き際に「こんにちは」と声を掛けてきた。「こんにちは」とちょっと戸惑いながら、その後ろ姿に声を返した。
ああ確認したのね、と感心しながら集団の中でも小さいその後ろ姿を見送った。
その後の彼らの冒険は、光と闇の狭間の世界に困難を極めたのか、追い付いてしまった。彼らは「歩いている人もいるし」と勇気を奮い起こし、つい笑ってしまった「歩いている人」をまた追い抜いていった。