年末の夕暮れ

夕暮れ、フィールドを歩いていると知人夫妻に出会い、しばらく話をした。

晴れて澄んでいるから、空が綺麗だ。青がだんだんと暗くなり、西に見える夕焼けとのコントラストが林のシルエットの先で刻々と変化する。何時もは聞こえる町の騒音も今日は静かで、歩いている人も少ない。そして、東の空には半月が輝いている。

とりとめのない話をしながら、夕暮れを楽しんでいた。

思わぬ場所に

 

えっ、ここにいたの。それも成鳥と幼鳥で……

昨日は、いつもの場所に現われないので場所を変えて見たのだが、ダメかなと思いながら覗いた先に、木にとまるカワウの群れに混じってしっかりといた。成鳥は撮影前に飛んでしまい、幼鳥は枝が邪魔ではっきりとは姿がみえない。

それでも値千金の発見なので撮影していたら、知人が来て、色々と情報をいただいた。ありがとうございます。

たまには場所を変えてみるのも良いものだ。

夜のフィールドを探検するお子様たち

いつもの観察を終え、とっぷり日も暮れ暗くなったフィールドを歩いていた。

外灯のない道も、夜に目が慣れると夜空に照らされてうっすらと独特の景色を映し出す。

人の気配が減るほどに生き物の気配が増すのに誘われて、暗くなったフィールドを歩いてしまう。

歩いていると、後ろから子供たちの嬌声が聞こえてきた。暗くなってからなんて珍しいと思いながら、自転車の集団が抜きやすいように道の端を歩いていく。背後から迫って来る声からすると不慣れな場所を探検しているようだった。

「ゆうれい、ゆうれい」なんて声も聞こえてくる。「面白いなあ」と思いながら黙って歩いていると、その中の小学校低学年と思われる子供が追い抜き際に「こんにちは」と声を掛けてきた。「こんにちは」とちょっと戸惑いながら、その後ろ姿に声を返した。

ああ確認したのね、と感心しながら集団の中でも小さいその後ろ姿を見送った。

その後の彼らの冒険は、光と闇の狭間の世界に困難を極めたのか、追い付いてしまった。彼らは「歩いている人もいるし」と勇気を奮い起こし、つい笑ってしまった「歩いている人」をまた追い抜いていった。

視点を変えると見える成果

クリスマスのフィールドは、人の気配が乏しいためか、モズがいつもは来ない場所まで出張っていた。
北風が強い。目的の鳥は何度か現われるも、木にとまることなく通り過ぎていく。まとわりつくカラスに苛ついたのか、爪を光らせカラスに掴みかかっていた。「ガゥ」と声を上げるカラスの姿に、なぜか少し気が晴れる。

結局、撮影という成果はなかった。

けれども、そうではない。目的の鳥も、カラスもいた。こういう時に視点を変えて考えていく。自分が感じたものだけで考える事が重要だとわかってきた。ポイントは差異、ノイズとして切り捨てられるものが重要だった。これは人と関わって気がついたことだった。

朧気ながら答えが浮かんだ頃には、日も沈み、辺りも暗くなっていた。帰路に着く前にいつものように暗くなったフィールドを歩き出す。

林の中でふと見上げた先にカラスが一羽で眠っていた。ハッとして辺りを確認すると、やはりそれはあった。納得ともにおぼろげな答えがその姿を見せ始めていた。やはり、成果は得られていたのだった。